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メールによるコミュニケーションの限界

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 ナレッジ・マネジメントはTQM、TQC、KAIZEN活動のほか医療機能評価受審やISO認証取得などといった道具や基準ではないことを確認する必要がある。ナレッジ・マネジメントは、組織が新しい知恵を創造していくための考え方・概念であるのと理解したい。したがって、その実践に方法論や基準は存在し得ないものと思われる。
 まず、知識には暗黙知形式知があることを理解したい。暗黙知は、主観的な知(個人知)、経験知など文字や数字に表していない知識であり、形式知は、客観的な知(組織知)、理性知など、教科書やマニュアルなどで学び得る知識である。
 ナレッジ・マネジメントの本質は知識創造のプロセスを明確にしていくことにあるようだ。すなわち、知識変換は次の4つのモード、各モードの頭文字をとったSECIプロセスにあり、このプロセスがらせん状に回転しながら上昇していくことによって個人の、そして組織の知が創造されていく


 

1 共同化は、物理的に一緒の場所で時間を共にする体験を通じ、各個人の無意識の前提にある価値観の違いが浮かび上がり、互いの違いを認めて理解しあうようになるプロセスです。
例えば「ユーザーとの対話を通して、ユーザーとしての立場で考えること」は、この共同化の過程であると言えます。


2 表出化は、まだ明確な形をとっていない自分の考えや思いを文章や図などの具体的な形に表現し、集団に効率的に伝えていくプロセスです。
この過程においては、個人の内部でも焦点が明確になり、新たな気づきが起こります。
具体的には、「喩えを用いて新製品のコンセプトを創造する」とか「技能をマニュアルやシステムに落とし込む」といった過程が考えられます。


3 連結化は、表出化された形式知を外から集めて分析したり、別の形式知と組み合わせて編集・体系化したりする過程です。
連結化とはまた、コンセプトを製品などに具現化することでもあるとされます。
具体例としては、文献や調査資料の読み込み、データ分析に基づく販売促進法の考案、試作品の製作などが挙げられます。


4 内面化は、連結化により組織的に体系化された販売促進法や製造手順などの形式知を現実に行動に移し、その結果から自覚的に反省し、さらに工夫を加えて実践してみることで、「次第に個人の暗黙知として血肉化していく」過程です。
実験や製品テストなどの開発にかかわる経験、市販後の顧客サポート、製品のマイナーチェンジなどがこの内面化のプロセスとして考えられます。

 

これらは実際には境界が曖昧な連続したプロセスになると思われます。
また、個人の視点が自己と他者の間を絶え間なく行き来する中で
「主観的な経験が…組織的な知識や知恵として膨らんでいく」ということが、
知識経営(ナレッジ・マネジメント)の基本の一つであると言えるでしょう。


この考え方に立てば、コミュニケーションには互いの思いや価値観の違いをぶつけ合う「共同化」の段階が欠けていたことがまず見えてきます。
実際には、それは問題が起きてから初めて実現しました。


当初から情報開示に神経を尖らせていた理由が、そのときからようやくわかり始めた気がします。知識経営(ナレッジ・マネジメント)の用語を用いるなら、
技術も持たずに相手を説得しようとばかりしていて、
「各個人が自らのかけがえのない体験・信念・価値観にコミットして語りあうこと」としての対話を行っていませんでした。
対話には「相互の信頼」が不可欠ですが、信頼関係はまだ構築されていませんでした。


また知識経営(ナレッジ・マネジメント)では、対話(言葉)で解消されない対立が、実践(行為)から蓄積された直観によって解消されうると考えます。
試作品や試験設定を作る過程で、メールによるコミュニケーションの限界をよく理解せず、不用意に喧嘩し過ぎていたのかもしれません。
その後で実現したように、試作品や実行案について話し合い、実際の試験の場も共体験できることが望ましいと考えられます。
地理的に直接のコミュニケーションが難しいときのICT(情報通信技術)の利用の仕方は、それ次第ではマイナスに働くという点で、決定的に重要であるのかもしれません。